この度、中国東方地方を代表する書画名家王順の絵画作品数点が東京で初めて展示致します。
中国で生まれた水墨画は長い歴史と豊かな伝統を持ち、東洋絵画の代表として重要なポジションにあります。唐代後半に山水画の技法として成立した水墨画、宋、明をかけて発達し、現代に至る長い歴史の変遷の中で、さまざまな流派が生まれました。歴代の画家たちは、過去に生み出され技法を継承しつつ、新しい工夫を重ねながら、独自の手法を創造していきます。王順は現代中国水墨画の伝承と革新をし続ける書画家中の一人であります。
王順の作品は墨の濃淡、ぼかし、かすれ、滲み、筆を運ぶ時の勢いの強弱などを駆使し、簡素でありながら繊細な表現ができ、清らかに澄み渡り、透徹した大気の流れすら感じさせます。
今回の絵展では、中国山水画のモデルとも称される江南風景をテーマに描いた、王順の近30点の作品を一挙公開致します。江南の美しい風景を伝えるだけではなく、自然に内在する生命と自然を支配する調和も描写し、作家が世界に対して抱いた感情や思考が込められています。